完結させるという事
ある日僕が、車で小さな交差点にさしかかると、
その自転車は、止まって道を譲ってくれた。
お互いに、どうぞ、どうぞと、譲り合いが始まったが、
結局僕の方が負けてしまった。
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ある日僕が、横断歩道を歩いていると、
その車は、止まって道を譲ってくれた。
まだ少し距離があったのに、
わざわざ止まって、僕が通るのを待っていてくれた。
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ホームセンターの駐車場。
何度も何度も切り返し、駐車に四苦八苦する車を、
僕は随分と長い事待っていた。
やっと駐車が終わったその車は、
ごめんなさいのジェスチャーで、僕に精一杯謝ってくれた。
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僕が車を運転している時に、
細い路地から通りに出ようとする車があった。
僕は車を減速させ、その車を入れてあげた。
向こうは大きなジェスチャーでありがとうと手を振ってくれた。
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どの話にも、後に続く一言がある。
その一言があってはじめて、その出来事がちゃんと完結する。
前者2つでは「ありがとう」
後者2つでは「どういたしまして」
これを言いそびれた時のなんとも宙ぶらりんな気持。
今からサビだ、って時に鐘を鳴らされるのど自慢の様な、
未完成のままずっと放置される様な感覚を味わい、後悔した。
なぜ言わなかったんだろうと考えた。
あ~、言って無視された経験が何度か重なると、
言わなくなってしまうんだなと思った。
結局は、
言って無視されて嫌な思いをするか、
言わなくて後悔するか、
どちらかを選ばなければいけないんだ。
単純な物で、物事が単なる二択問題になれば、
霧が晴れて、迷路が解けて、
気持がとっても軽くなった。
自分が気持ちがいい方を選べばいいだけなんだよと思った。